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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Read 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) by 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 284,014 characters · 565 screens
赤湯は赤湯山の西北で清津川が直角に曲っているその角の所の右岸の河原に湧き出している、何でも其辺を掘りさえすれば湯は出るらしい。六、七箇所あって孰れもぬるいが一個所熱いのがある。元より河原を掘って湯を湛え、それに浴するのであるから浴槽などはなく、又同じ自然の儘でも鐘釣や花敷ほど感じはよくない。沙が赤錆びているので手拭などすぐ渋紙色に染る。それで赤湯の名があるらしい。宿は一軒で二棟ある。四、五十人は泊れるであろう。不潔は免れないが、二階にいて便所の臭気が座敷まで襲来するのには最も閉口した。
苗場登山の希望を話して相談すると、二、三年前に林道が造られたので、湯治に来た女衆でも下駄履きで蝙蝠傘をさして、此処から日帰りに参詣して来ると聞いて、少し張合いも抜けたが安心もした。ここでもお節句の粽が膳に上る。他の御馳走は辞退し、粽と蕨ですっかり満足した。
翌日は余り好もしい天候ではなかったが出発ときめる。また朝食代りに粽をたべ、山の上まで荷を持って貰う為に下男を借りることにした。道は対岸の赤倉山の尾根に通じているのであるが、橋はなし雪代水で徒渉は不可能である。