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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Read 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) by 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 284,014 characters · 565 screens
日光沢と鬼怒川
一斤のドロップと一缶のおたふく豆とが残り少になって、長い夜も漸く明けるまでには、雨水の湯が幾杯か飯盒で沸かされた。
日光沢と鬼怒川
十三日。風雨。午前六時五十分野営地出発。来路を空沢の出合まで遡行し、夫より右斜に上りて、九時一の平坦地に達し、東に向って下り、十時日光沢。十一時鬼怒川本流との出合。十一時五十分八丁湯附近にて昼食。雨歇む。午後二時出発。三時十分小在池沢。四時黒沢。湯沢の合流点より左岸の道を歩みて五時川俣温泉着、泊。
日光沢には十余の瀑布あり。五万の地図に「光」の字の上にて西方より小渓の来り合するを見る可し、此附近二町許の間を除けば右岸に登る道なきに似たり。恐らく日光沢より鬼怒沼への通路というはこの小渓を遡行せしものに非ざるか。されど余は更に鬼怒川本流を遡りて、原より南下する沢若しくは其附近の尾根を登る方可ならんと考う。
暁かけて雨は少し小降りになったが、霧が深いので出発が遅れる。出懸にもう一度絶壁を覗いて見た。遥か下に濛々たる霧の間から華やかな闊葉樹の梢がぼうと滲み出して復吸い込まれるように消えて行く。見ていると目が眩んで前へのめり落ちそうになる。