Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Read 平の将門 (たいらのまさかど) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 232,193 characters · 463 screens
と、果たして、忠平は、聞き咎めて――「その、小舎人を、御存知か」
「いや、見も知りませぬが……」
「なにか、粗相いたしたか。その召使は、お汝の国もとに近い、下総の良持の子じゃがの」
「良持? ……と、仰っしゃると、下総の豊田の郷にいた平良持がことでございますか」
「そうじゃよ。知らんかの。常陸の国香から添え手紙あって、生来、痴鈍な童、故あって、郷里にもうとまれ、とかく、肉親たちとも、折合いのむずかしい者故、長く、当家の下僕のうちになと、飼いごろしに、召使うてくれいとあったので――そのまま館においておる」
「これは、亡き良持の、何番目の伜にございますか」
「さあて。三男やら、四男やら、そのほどは弁えぬが、良持の子とは、国香の状にもあった。多分、外の妾の子でもあろうか。ともあれ、鈍な子と、国香の添え状にも、ことわりのあった者じゃ。何か、粗相をしたなら、ゆるしてやれい」
小次郎は、地にぬかずいている耳へ、そのまぢかな声が、何か、ただがんがんと、地うなりのように聞える心地で、満足には、聞きとれなかった。
忠平のことばの途中から、くわっと、血が逆上っていたためである。