Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Read 新・水滸伝 (しん・すいこでん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 684,899 characters · 1374 screens
転び出てみると、暗中にもがいている巨大な物がある。かねがね狙ッていた大虎が、見事、罠弓にかかっていたのだ。
だが、近よって、これを刺叉にひッかけようとすると、いわゆる猛吼一声というやつ、ウオオッと背を怒らし、矢を負ったままな大虎の影は、彼方の谷崖の下へ、どどどと雷雲のころがるように落ちて行った。
「いけねえ、こいつアしまった」
「なにさ、弟、あわてるこたあねえ。毒矢の毒がまわっているんだ。落ちた所でおだぶつさ。それ以上は逃げッこねえよ」
「だって兄貴、この崖下は、たしか因業旦那と伜の毛仲義のやしきのうちだぜ」
「べらぼうめ。毛旦那に借りがあるわけじゃなし、ちょっとお庭うちを踏ませておくんなさいぐらいな頼みに、何の苦情があるもんか」
道を廻って、二人は山腹の豪勢なお大尽やしきの門を叩いた。まだほの暗い早朝だ。荘丁らは渋い目をこすッて何かと出て来る。毛旦那もやがてあとから現われた。
「なんだえ、一体お前らは、こんな早くから」
「あいすみません。とんだお騒がせをいたしまして。じつあお上の厳命で、三日と日限りの虎を狙ッていましたんで」
「ああ、あのお達しだね。そして巧く獲物を仕止めたのかい」