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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 180,256 characters · 361 screens
で、天蔵は、日吉のその視線を払い退けるように、つよく睨め返して、
「知れたこと、おれたちは、御厨の野武士だ。声をたてると、ぶッた斬るぞ。餓鬼どもの生命などを取りに来たのではないから、踏みつぶされないように、薪小屋にでも引っこんでいろ」
抜く手まねでもしたら横ッ飛びに消えてゆくであろうと、天蔵が、大太刀のを一つたたいて見せると、日吉は、にやっと白い歯を出して、
「じゃあ、おじさんは泥棒なんだね。――泥棒なら、欲しい物さえ持って行けばいいんだろ」
「うるさい。彼方へ行け」
「行くけれど――そこの門を開けたら、おじさん達は、一人のこらず生きて帰れないぜ」
「なんだと」
「知らないだろ。誰だって知らないけれど、おらだけは知ってるんだ」
「小僧、汝はすこし、気が狂っているな」
「自分のことをいってら。おじさんこそ頭が悪いぜ。こんな家へ泥棒にはいって来るなんて――」
門の外では、かかることとも知らないので、そこの開くのを待ちしびれて、天蔵の仲間が、
「まだか、まだか」
と、扉を鳴らしていた。
野武士の渡辺天蔵は、
「待てよ。ちょっと待て」
と、門の外の者を、制しておいてから、また、日吉へ向って、