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にほんばし
日本橋
泉 鏡花
Read 日本橋 (にほんばし) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,697 characters · 177 screens
、框へ出て、はッと悪く落着いた切口上。
「別にそのでございます。相変りました事はございませんです。」と、戸籍係に立ごかしの三ツ指を極めたと思え。
「羅宇が出来たけえ、……持って来たですッ。」
「何だね、羅宇屋さん、裏へお廻り。」と、婆やが水口の障子で怒鳴ると、白磨竹を突着けられた千鳥の前は、拷問の割竹で、胸を抉られた体にぐなりとした。
鍋焼饂飩は江戸児でない、多くは信州の山男と聞く。……鹿児島の猛者が羅宇の嵌替は無い図でない。しかも着ていたのが巡査の古服、――家鳴震動大笑。
以来、戸籍検べ、とさえ言えば、食いかけた箸を持って刎廻る埒の無さ。当区域受持の警官も、稲葉家では、(笑う。)と極めて、その気で髯を捻るのであったが。
今日のは大に勝手が違った。
「姉さんは内じゃろうで。」
「はあ、あの……」
「是非、直接に逢いたいんじゃ……取次を頼むです。」
小女が一度、右の千鳥女史と囁き合って、やがて巡査の顔を見い見い、二階に寝ていたのを起した始末。笑い掛けたのは半途で圧え、噴出したのは嚥込んで、いやに静かな事よって如件。
幽な咳してお孝が出た。輪曲ねて突込んだ婀娜な伊達巻の端ばかり、袖を辷って着流しの腰も見えないほどしなやかなものである。