Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Read 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 148,519 characters · 296 screens

Aozora Bunko

と大学は思っていたのであった。

「船岡どの」と安芸が云った、「久方ぶりで、一つまいろう」

甲斐は目礼した。

給仕の少年が、安芸から盃を受取って立ち、甲斐の前へ来た。甲斐が盃を取ると、侍していた若待が酒を注いだ。甲菱は盃の中を見、その眼で安芸を見た。

「それは私が焼いたものだ」と安芸がいった、「涌谷でなぐさみに焼いたものです、船岡どのは酒好きだそうだから進呈しようと思って持って来た、お気にいらぬかもしれぬが、持って帰って下さい」

甲斐は「頂戴いたします」と云い、酒を飲むとすぐ、その盃を懐紙に包んで、ふところへ入れた。

奥山大学がまた話しだした。甲斐はしばらくして、手を洗いに立ったが、戻ってくると、しきりに飲みはじめ、やがて酔いつぶれてしまった。甲斐が酔いつぶれるまで、奥山大学はきえんをあげつづけた。

大学は誰をも好かない、ことに茂庭周防とは仲がわるかった。家老として、茂庭周防は首座である。七つも年下の周防が、自分より上位にいるので、気にくわないということもあろう。しかし、同じ席にいる大条兵庫や、古内主膳とも、うまが合わなかった。

安芸がいたからよかった。