Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Read 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,496 characters · 368 screens
妾など、厭アなお婆さんとおぼしめすでしょうねえ」
――まんざらそうでもござんすまいと、そう云いたげに今度は梶子は、グラリと躰を右の方へ蜒らせ、ムーッとするような濃厚な色気をまた腰のつがいに見せた。
「梶子殿!」
と語気を強め、いよいよ民弥はイライラしながら云った。
彼には梶子の不真面目とも見える、ひどく色っぽい誘惑的態度が、がまん出来なくなって来た。
もちろん彼は梶子その人の、美貌や才気や胆力やに、好奇心を持ち感心もしてい、かなり好きでもあるのであったが、しかし現在の彼の心は、そうして彼の境遇は、そんな好悪の感情などに、関心出来ないところにあった。
「拙者本日参上しましたは、姉小路様よりあなた様に、お預けして、京都へ送る筈の人形、あの女男の人形を拙者の手へ返戻――お返し願いたく存じましてな、それでお伺いいたしましたので。……なにとぞお返しくだされますよう」
「おやまア」
と梶子は驚いたように――事の意外に驚いたように艶の眼を張って民弥を見詰めた。
「それはいったいどうしたわけで?」
「どうしたわけとおっしゃいますと?」
「では……それでは、姉小路様がそのようにあなた様におっしゃいまして、それで人形を妾の手から……」