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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Read 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,496 characters · 368 screens
島で
今日でいえばバラック式の建物、それを建築しているのであった。
その日の夕暮れになった時、同志の一人の金井半九郎が、海岸から大急がしに走って来た。
「鵜の丸殿、佐原殿、稀有のことがございます」
そう二人に注進した。
「稀有のこととは?」
と兵庫は訊いた。
島で
半九郎は呼吸せき云った。
「拙者海岸に参りまして、船の世話いたしおりましたるところ、沖の方より大船参り、海岸に横づけとなりましたが、百数十人の武士の群が、その船より陸に上がり、林の中へ分け入りましてござる。これは審かしいと存じまして、後をつけ様子を見ましたところ、何んとその中に紀州の藩士、ご存知の加藤源兵衛や、霜降小平などがおりましてござる。されば思うにその人数は、紀州藩の者にござりまして、この島へ上陸いたしましたは、我々がこの島へ参りましたを探知し、一つには萩丸様を取り戻そうため、一つには我々同志一同をからめとるために相違ござりませぬ。はなはだ危険と存じましたなれば、馳せ帰ってお知らせいたしましてござる」
兵庫も嘉門も顔色を変えた。
「フーム、紀州の藩士どもが、そのように多数上陸いたしてござるか。