Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Read 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,496 characters · 368 screens
なつかしの思い出
こう思わざるを得なかった。
そこでわざと高笑いをした。
「何んのこれとても恋からでござるよ。……拙者梶子様に首ったけで。そこで恋敵の民弥殿を、眼の敵にして申しますので。アッハハハ、恋は曲者、拙者もヤキが廻ってござる。……が、姓を刃と申すほどあって、恋も怨みも人一倍、深く感ずる拙者でござれば、梶子様にも民弥殿にも、ご用心肝要でござりましょうよ。……抜けば必ず血を見る長船! この長船を抜かせぬよう、ご注意! ご用心! ご注意! ご用心!」
ここで黒痣半面の顔を、ひん曲げて厭らしく憎々しく笑った。
「またこわもてかい! こわかアないよ」
云ったものの梶子は厭な気がした。
(こいつは随分執念深そうだよ)
膝の上の猫の背をさすりながら、ふっと不安を覚えさえした。
なつかしの思い出
それから二日の日が経った。
姉小路卿は使命を終って、江戸から京都へかえることになり、柳営諸閣老に別れを告げるべく、それぞれのお屋敷へ伺候した。
保科正之、松平伊豆守、阿部豊後守、酒井忠勝、こういう人々が幼年の将軍、家綱公を補佐していた。
それらの人々のお屋敷へ行った。
姉小路卿は老人ではあったが、才幹胆力二つながら勝れ、かつ素晴らしい外交家であった。