Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Read 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 327,364 characters · 638 screens

Aozora Bunko

二人は照れてしまったが、葉子は部屋の空虚を充たすために、力めて話をしかけた。そこへ真白に塗った小夜子が、絵羽の羽織を着て嫻やかに入って来た。そして入口のところに坐った。

「梢さんでしょう。」

小夜子はそう言って、挨拶すると、今夜は少しお寒いからと、窓の硝子戸を閉めたりして、また入口の処にぴったり坐ったが、表情が硬かった。

葉子は立って行って、小夜子と脊比べをしたりして、親しみを示そうとしたが、いずれも気持が釈かれずじまいであった。

「やっぱりそうかなあ。」

庸三は後悔した。するうち小夜子を呼びに来た。客が上がって来たらしかった。

「私今夜ここで書いてもいい?」

葉子は書く仕事を持っていることに、何か優越を感ずるらしく、庸三が頷くと、じきに玄関口の電話へ出て行って、これも新調の絵羽の羽織や原稿紙などを、自動車で持って来るように、近所の下宿屋を通して女中に吩咐けた。

しかし間もなく錦紗の絞りの風呂敷包みが届いて、葉子がそのつもりで羽織を着て、独りで燥ぎ気味になったところで、今夜ここで一泊したいからと女中を呼んで言い入れると、しばらくしてから、その女中がやって来て、