Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しろばなのあさがお

白花の朝顔

泉 鏡花

Read 白花の朝顔 (しろばなのあさがお) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 30,880 characters · 62 screens

Aozora Bunko

――

ですから、嵯峨へ、宇治へというのを断って、朝出ると、すぐ三十三間堂。社もうで、寺まいり。何にしろ食ったものさえ、水菜と湯葉です。あの、鍋からさらさらと立った湯気も、如月の水を渡る朝風が誘ったので、霜が靡いたように見えた、精進腹、清浄なものでしょう。北野のお宮。壬生の地蔵。尊かったり、寂しかったり。途中は新地の赤い格子、青い暖簾、どこかの盛場の店飾も、活動写真の看板も、よくは見ません。菜畠に近い場末の辻の日溜りに、柳の下で、鮒を売る桶を二人で覗いて、

(みんな、目あいていやはるな。)

といった、お絹の目が鯉の目より濡々としたのが記憶にある……といった見物で。――帰途は、薄暮を、もみじより、花より、ただ落葉を鴨川へ渡したような――団栗橋――というのを渡って、もう一度清水へ上ったのです。まだ電燈にはならない時分、廻廊の燈籠の白い蓮華の聯なったような薄あかりで、舞台に立った、二人の影法師も霞んで高い。……

暗い磴の幽な底に、音羽の滝の音を聞いた時は、

松風に音羽の滝の清水を

むすぶ心やすずしかるらん

地唄の三味線は、耳に消えて、御詠歌の声をさながらに聞きますと――はてな、なぜか今朝、起きぬけに、祇園の茶屋の橋がかりで筧の音のした時と、お絹の姿も同じようで、一日を夢に見たように思いましたが――