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しろばなのあさがお
白花の朝顔
泉 鏡花
Read 白花の朝顔 (しろばなのあさがお) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 30,880 characters · 62 screens
八
そうして、朱の扉の端に片よせて、紅緒をわがね、なし得る布施を包んだ手帖の引きほぐしに、
大慈のお ん心にまかせ三界迷離の笠一蓋
よしなにおん計 いのほど奉願上候
……夜 巡礼者
当御堂 お執事中 礼拝
舞台を下りると、いつか緒の解けたのが、血のように絡わって、生首を切って来たように見えます。秋雨がざっと降って来る。……震え、震え、段を戻って、もう一度巻込んで、それから、ひた走りに、駆出しましたが。
お洲美さんは――水木藻蝶の年も待たず、三年めに、産後で儚くなりました。
「その紅緒なんです。その朝顔の笠、その面影なんです。――」
八
「――お絹さん、宿へ行って話しましょう。――この笠に、深いわけがあるんですから。」
「そしたら、泊っておくれやすえ、可恐いよって。」
「大きに。」
お洲美さんの思出のために、目の前の誘惑に対する余裕が出来て、と、軽く受けて、……我ながらちょっと男振を上げながら、夜露も身に沁む、袖で笠を抱きました。
「旦那、帰ってもいいんでござんしょう。」
藍川館の玄関へ引込んだ時、酔った車夫がニヤニヤと声を掛けた。