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しろばなのあさがお

白花の朝顔

泉 鏡花

Read 白花の朝顔 (しろばなのあさがお) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 30,880 characters · 62 screens

Aozora Bunko

「あんたはんまで、そない言わはる、口惜いえ。」

「が、しかし、つらいでしょう。」

莨を捨てて硝子盃を取って、

「そんな時は、これに限る。熱燗をぐっと引っかけて、その勢いで寝るんですな。ナイフの一挺なんざ、太神楽だ。小手しらべの一曲さ。さあ、一つ。」

「やどへ行て。」

「成程。」

「あんたはん、のましてくりゃはりますか。」

「飲ませますとも。」

「嬉しいな、段で、抱いてくれやはった時から、あんたはんは生命の親どす。」

真顔で、こうまでいわれたのには、酒が支えた。胸の澄まない事がいくらある……

「お言で痛み入る。」

と、もう一息ぐっと呷って、

「――実は串戯だけれどもね、うっかり、人を信じて、生命の親などと思っては不可せん。人間は外面に出さないで、どういう不了簡を持っていないとも限りません。

こういう私ですがね、笑い事じゃあるけれども、夢で般若が追廻すどころか、口で、というと、大層口説でもうまそうだ。そうじゃない、心で、お絹さんを……」

「私をえ?」

「幽霊にしましたよ。ご免なさいよ。殺した事があるんだから。」

「あんたはんがな。」

前髪がふっくり揺れて…差俯向く。

「本望どすな。