Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Read 胡堂百話 (こどうひゃくわ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 124,386 characters · 248 screens
時事川柳(二)
さて、大正十二年の大震災で、古い東京は灰になった。見渡す限り、焼野が原である。
するが町広重の見た富士が見え
私は文句なしに天位にした。建ち並ぶ高楼が煙と消えて、その昔、広重が描いた通りの富士山が、日本橋から丸見えになった。作者は一松だったと思う。これなどは、不朽の名作といってもよかろう。それから二十幾年たって、再び焼野が原になろうとは、むろん、その時は思わなかったが……。
時事川柳(二)
時事川柳は、その新聞社がつぶれるまで、前後二十七年間つづいた。途中でほんの一時だけ、社僚の青木武雄君に、代選をやってもらったほかは、終始、私が選をした。
ある朝、受付の給仕が顔色を変えて走りこんで来た。
「大変です。変なやつが来ました。川柳欄の責任者に会わせろと、大変な見幕です」
「どんなやつだ」
「暴力団みたいなのです」
新聞社へ、暴力団が因縁をつけに来るようになったのは、満州事変の前後からだと覚えている。国家主義が勢いを得るにつれて、天皇の尊厳は犯すべからざるものとされ、新聞社でも大いに気を配って、宮廷関係の原稿は特別に「要注意」のハンコを押し、三校、四校まで取るようにしたが、それでも、ちょっとしたエラーがあると、どうして嗅ぎつけるのか、わっとばかり押しかけて来る。