Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Read 胡堂百話 (こどうひゃくわ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 124,386 characters · 248 screens
佐藤垢石君
私の先輩や同僚には豪傑もいた。奇人もいた。いずれも新聞を、こよなく愛した人ばかりだ。思い出すままに書きつらねてみたいと思う。
佐藤垢石君
佐藤垢石君は、釣と雑文で、晩年は大変な人気男になってしまったが、私が社会部長当時、まことに重宝な部員であった。
例の、一風かわった随筆集に、私のことも、たびたび出てくるが、その中で、たった一カ所、ウソがある。彼と私が編集局で、取っくみ合いのケンカをやったと書いてあるが、あれは文章の綾でなければ、フィクションだ。私には、そんな覚えがなく、第一、垢石君は、あの通りのやせっぽちだし、私は、二十三貫あった。もしも、やったとしたところで、ポン! と一発で、きまってしまう。
もっとも、ケンカの花は、相当に咲いた。社の中でも咲いたし、外からも咲かされた。暴力団の親分二人が、記事の腹いせか何かであろう。ギラギラするやつを抜き放して、二階の編集局へあばれこんだのを、サトウハチロー君の厳父、当時の若手記者佐藤紅緑氏がモロに叩き落した。
二人は腰をさすって退散したが、お化けと愚連隊は、消えたあとがこわい。お礼まいりに来るなら来てみろと、覚悟をきめていると、それっきり来ない。