Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Read 胡堂百話 (こどうひゃくわ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 124,386 characters · 248 screens

Aozora Bunko

忘れられない人達

日本橋の魚河岸の近くでは、頭にチョンマゲを載っけている、すごく威勢のいい、お爺さんに懇意になった。

このお爺さんからは、いろいろと話をきいたが、それよりも、生ッ粋の江戸ッ子弁が見事であった。絵にかいたような、巻き舌でポンポンポンとタンカを切るのが聞きたくて、私は、毎日のように日本橋へ通った。今日、私がいくらかでも江戸が描けるとしたら、それは、こうした人たちの賜物である。

忘れられない人達

大正の中ごろから、いわゆる大衆文学が勃興した。私もヨチヨチと小説らしきものを書きはじめた。

そのころ、ほとんど毎月のように匿名批評で取りあげて「野村胡堂と吉川英治に注目する」と書いてくれる人があった。それが、一度も顔を合わせたことのない、若き日の直木三十五氏であったのだ。

直木氏に逢ったのは、それから、よっぽど後である。何かのはずみで、氏の家を訪ねた。立派な家だが、家具なんかなくて、何か、ガランとしていた。すごく豪勢な刀を持ち出して、障子にもたれたまま、

「この刀、この間、買ったんだぜ」

と、威張っていた。ロクな茶碗もないくせに、素晴らしい刀に千金を投じたり、どこかちぐはぐな面白さが、直木氏の身上だった。