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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens
お里は多分身を持崩した素姓の悪い女で、定五郎のところへ転がり込んで、定吉を邪魔にして投り出したんだろう」
平次の話は一々根拠がありましたが、
「そのお栄が何んだって三人も四人も殺したんでしょう」
「宇津の谷峠で奪った一万二千両の奪い合いだよ。一万二千両の御用金は何処かに隠してあるだろう、それを知っているのは誰だかわからない。が、四人の仲間が殺し合って、たった一人になれば、その残る一人の手に入ることだけは確かだ」
「ヘエ」
「最初から話してみようか。半兵衛が殺されたあの晩、昌平橋で、俺とお前に逢った時は、お栄もさぞ吃驚したことだろうよ。あれは半兵衛を殺した匕首を捨てに来たのだ。匕首には一と目でお栄の持物とわかる目印でもあったに違いない」
「なるほどね、それで樽拾いの小僧まで殺して、あの匕首を手に入れたんですね」
「匕首を手に入れたのは番頭の宇八さ。宇八はその匕首を手に入れて、お栄を脅かしたんだ――いや、宇八はお栄に参っているから、匕首を種に口説いたんだろう」
「いやな野郎ですね」
「八五郎なら、そんな事はしない。女を口説くのは男前と胸三寸」
「ご冗談で」
「話は後前になったが、お栄はあの晩乞食橋の荒物屋で、宇八に逢う約束をしながら、半兵衛を殺してお隣りで油を売り、乞食橋へは行かなかった。