Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens

Aozora Bunko

お栄の二の腕

いやもう、家主にとっては、店子に心掛けの良いものがあるほど、嬉しいことはないよ、では銭形の親分」

仁助老人はホクホクしながら帰って行きます。

「おっ母さん」

その後ろ姿を見送っている母の膝に、お雪はドシリと二十両の小判の入っている、縞の財布を置くのでした。見上げた眼も、見下ろした眼も、涙に濡れておりました。この激しい貧苦にさいなまれている暮しの中で、天から降ったような二十両の金を、奉行所へ持って行く心掛けは容易のことではありません。

「一寸、その財布を見せてくれ。借りて行っても構わないだろうな」

平次はその財布の縞柄が妙に気になりました。

「ハイ」

お雪は財布から出した小判を、反古紙に包んで母親に渡し、財布を四つに畳んで平次の手に載せました。

肩の透いた袷、よれよれの帯、油気のない髪――それは見る影もない姿ですが、眼の涼しさにも、頬の豊かさにも、十八の青春は美しく燃えて、貧苦も艱難も虐げ尽せぬものがこの娘にあります。

お栄の二の腕

その晩八五郎は、珍らしく一升ブラ下げて行って、叔母がハラハラするのも構わず、お栄を誘ってチャブ台を囲みました。

「叔母さん、今晩はうんと酔って、お栄さんに聴いてもらい度いことがあるんだ。