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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens
地下の黄金
平次の首へ、蔓草のように、犇々と巻いて来る女の腕は、平次の手で静かにほぐされました。
「お銀――お前から見ると、男は随分馬鹿に見えるだろう。が、俺も銭形平次だ、二万両の隠し場所を、まるっきり見当がつかないわけじゃない」
「?」
「お前にばかり物をいわせるのも能じゃないだろう。一つ俺は俺だけの勘考で捜してみようか」
平次は大変なことをいい出しました。
地下の黄金
「まア、さすがは銭形の親分さん。ではその金の隠し場所へ、案内して下さいませんか」
お銀はもとの冷い態度にかえると、少し離れて平次の動きを見ております。
「尾州の御用金一万二千両は、最初金沢町の近江屋に隠して置いたが、仲間割れが始って谷中の五重の塔に移した」
「――」
「それが一度尾州の蔵屋敷に入って、また盗み出されたが、曲者は今度は自分の身近かに置いたに違いない。盗んだ金を遠くへは離せないのが盗人の根性だ。近江屋は自分の家へ隠し、谷中の五重の塔の時は、お前がツイ傍の花屋で見張っていた。一度隅田川へ持ち出した時は、細工が過ぎて、直ぐ俺に捜し出されてしまった――」
「――」
平次の推理は、傍にいるお銀を無視して、この方程式を解いて行くのです。