Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 157,440 characters · 313 screens

Aozora Bunko

斑組六人男の首領のこの俺が、折入って銭形の親分に話したいことがあったからだよ」

「――」

妙に含み声ですが、それは恐らくこの男がひょっとこの面を冠っているためでしょう。

「お前はだれだ」

この傍若無人の広言に、平次もさすがに我慢がなりかねました。懐ろの十手をそっと抜いて、万一の場合には、この扉一枚を打ち破っても、この曲者を捕えてやろうと、ぎりぎりの決心までも堅めて、餌物を狙う豹のように、金箱を小盾に構えます。

「名前をいえというのか――そいつは無理だ。名前が知れると、三日経たないうちにおれは縛られるよ」

「――」

「それほどおれという者の顔が知られているのだ。銭形の親分をここへおびき出したのは他の事じゃない」

「おれはおびき出された覚えはない。おれは勝手にここへ来たじゃないか、馬鹿ッ」

「怒ったか、銭形の――だが考えて見るが宜い、何月何日何刻、谷中の五重の塔の上へ、こうこうして登って来いといってやったら、銭形の親分はノメノメとここへは登って来なかったろう。来るにしても、あの顎の長んがい野郎を始め、血のめぐりの悪い子分や、組子を二、三十人はつれて来るだろう。それじゃ落ちついて内証話も出来まいではないか」