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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Read 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 213,575 characters · 424 screens
殿上に昇れぬ武者どもをさす。武者の故郷は、地方である。平氏は西国、伊勢地方。源氏の多くは東国だった。
武者は宮門や権勢家の番犬的な存在としか認められていない。しかし、堂上公卿の生活にふれ、宮廷人の腐敗内紛などを日常に見ていた。しかも、彼らは例外なく貧乏で、また久しく“地下人”として賤しまれてきた。うつぼつたる不満と、時勢への眼ざめがやがて起こる。殊に、若き清盛、若き文覚、若き西行など、時を同じゅうして勧学院を出た同窓の間には、いずれも相似た苦悶があった。
末期の世相と、未来の修羅道におののいて、若き西行は、歌の道と山林に隠れ、文覚は人妻の袈裟に恋して、その青春を自己の情熱に自爆させる。――ひとり、スガ眼の忠盛とよばれた貧乏平氏の一子平太清盛だけは、幼い弟妹と継母の家庭にあって、みじめな生活苦と人間欲のまん中を真っ正直に体験した。けれど彼には、よき父親と忠僕の家貞があり、ちまたに歪められがちな青春も、幾度となく、自暴自棄の淵からは救われつつ行く。
好色の法皇白河が残した一因は、清盛の悲心に憤涙を刻み、ひいては、宮中の天皇、以後の上皇にも、幾多の葛藤を因果した。