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うんなんしゅびへい

雲南守備兵

木村 荘十

Read 雲南守備兵 (うんなんしゅびへい) by 木村 荘十 (きむらそうじゅう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 37,859 characters · 76 screens

Aozora Bunko

落盤

孫軍曹は、もう見るに堪えなかった。彼は徐上等兵を眼で促して、黙々として坑内から出ると、

「徐上等兵、お前はお寺の地獄の絵を見たことあるか」

と云った。

「地獄の絵がどうかしたのですか」

「さしずめ、俺達ァ、あの、赤鬼、青鬼だと云うんだよ」

彼は、そう云いながら、監督や衛兵をジロリと見て、挨拶もせずに歩き出した。

落盤

「今日は、坑内を御覧になったそうだが……」

その午後、孫軍曹の部屋を訪問した鉱山の経理は、半ば威嚇するような、また媚びるような複雑な表情をして云った。

「坑内のことに就いては、沈大佐殿にも既に御諒解を得ているので……どうか一つ、あなたもよろしく願いますよ。こういう仕事ですからね。外部へ知れていいことばかりはないので……これはそのほんの手土産代りですが」

「何ですかこれは?」

「そう改まって仰有るほどの金じゃアありませんが、街へ出た時にでもお役に立てて下さい」

年輩の経理は厭味な笑を作って――若いの、分っている癖に、あっさりとって置け――という眼付をした。

「はああ、あれを見た口どめという訳ですね」

「そ、そういう訳じゃありません」経理はむっとしながら云った。