Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うんなんしゅびへい
雲南守備兵
木村 荘十
Read 雲南守備兵 (うんなんしゅびへい) by 木村 荘十 (きむらそうじゅう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 37,859 characters · 76 screens
貧民窟
「宿はあてがあるのか」
「は、母が小西門外に居りますから」
「小西門外に」
副官は、ちょっと眉を寄せて考えたが、
「そうか、ここに母親がいるのか、それはよかったな」
と明るく云って立った。そして、これは重かったろうと荷物をひっくり返し、公務とした軍務司長への宛名を下にぶらさげて廊下へ出ると、前後を注意深く見廻して、恐しく急ぎ足で去って行った。
貧民窟
孫伍長は、門を出ながら、副官はどうして荷物を逆様にしたり、あんな落つかない様子で持って行ったのだろう、一体何が入っていたのかと妙な気がした。
それに、副官が、自分のような異常な抜擢をうけている伍長に、何故前線のことを少しも訊かなかったのかと、不思議でもあり、少し不満でもあった。
“しかし、とに角、三日も休暇をくれたのだからな、俺をいい軍士だと思ったに違いない”
彼はそんなことを考えながら、勝手知った城内を斜に突切って、自分の家の方へ急いでいた。
だが、孫伍長は、小西門を出て、城壁沿いに暫く行くと、慌てて前後を見廻した。
“道を間違えたかな”
崩れた跡の形まで覚えている城壁は、夜空にどっしり横にはっているし、屋根の反返った古い鐘楼も黒々と聳えていて、角の薬屋の剥げた金看板も元のままなのに、彼の家へ行く横町がないのだ。