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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
そして恰度二人が自動車へ乗った時に松林の向うを疾る汽車の音が聞えて来ると、
「あれがD50・444号の貨物列車だよ」
と、助役が言いました。
それから役等はB町へ出掛けて安藤巡査に豚の処置を依頼すると、そのまま自動車で、もうすっかり明け放れたすがすがしい朝の郊外を、H駅まで疾る事になったんです。
車中で、吉岡は助役に訊ねました。
「あの豚は殺して解剖するんですか?」
すると助役は、
「ううん。もう豚公には用はないよ。僕は、彼奴が食余した餌と毒を、手に入れたからね」とそう言って外套のポケットから、三、四枚の花の様な煎餅を出して見せました。それは斑に赤や青の着色があって、その表面には小豆を二つに割った位の小さな木の実みたいなものが一面に貼り着けてあるんです。
「先刻の冒険の」と助役が言いました。「一番主だった僕の目的と言うのは、始めからこいつにあったのさ。もっともこんな煎餅を手に入れようとは思わなかったがね。つまり僕は、――盗んだ豚を殺してからではとても一人では持てないから、生かしたままで線路まで連れて来て、さてそこで上手に汽車に轢かせる様にするためには、単に縄を枕木の端の止木の釘と反対側に立っている里程標との間へ渡して、その真ン中へ豚を縛った位では到底三遍も四遍も成功する事は出来まい。