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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
五
で早速東屋氏へ、
「判ったよ」
「なに判った?」
と東屋氏は、私の顔をしげしげと見詰めながら、
「よく考えて見ましたか?」
「馬鹿にし給うなよ」
「じゃあ云ってご覧」
「犯人は黒塚だ!」
「違う!」
五
「違う?……冗談じゃあない」
私は思わず吹き出した。
「全く、冗談じゃあないよ」
と東屋氏は大真面目だ。
そこで私は、いささかむッとして、
「君こそ計算違いだ」
「どうして?」
「だって、いいかい……一九〇・九二〇瓩から、深谷氏とこの荷物の重量を引けば、六六・一〇〇瓩じゃないか。そしてこれこそは、まさに黒塚氏の体重だ。しかも、ピッタリと合う……」
「だから違うんだよ」
と東屋氏だ。
「何んだって?」
「何んでもないさ」と東屋氏が始めた。
「つまり、ピッタリ合うから、違うんだ。判るだろう?……成る程、君の算術には間違いはない。が、君は、算術と現実とをゴッチャにしてしまった。だからいけないんだ。ね、考えて見給え。僕達は、昨夜犯行当時の白鮫号の中味を、そっくりそのまま秤に懸けたわけじゃあないんだ。今日になってから、しかもあっちこっちバラバラの寄せ集め式計算だ。おまけに、浮力の実験に際しても、厳密に云えば必ず多少の不正確さは免れなかった筈だし、搭乗者の服装やその他の細かな変化も、多少とも見逃しているのだ。