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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
三
「あります。自動台秤の大型な奴が、別館の物置の方に」
「結構、結構。――さあ、もうこれで、いまこの白鮫号へ乗った全部の重量と、深谷氏の体重を計りさえすれば、二人の同乗者の目方も判ると云うわけだ。極く簡単な引算でいい」
「こりゃあ面白くなって来た」
私は思わず呟いた。東屋氏は笑いながら、
「いやどうも有難う……ではもう、この位でいいだろう。引揚げよう。おっと、この二枚の帆の装置と云うか、トリムと云うか、固定された方向だね。こいつは、右舷の前方から吹き寄せる風に、ひとりでに押されるように仕掛けられた訳だ。そして、左寄り約十度に固定された舵――ははあ、つまり、船を自然に大きく左廻りに前進させようと云う――泡のある吹溜りで深谷氏の同乗者が仕掛けたテクニックだな。よし。さあ出掛けよう。君、その石を持ってくれ給え」
三
東屋氏は大きな方の石を、私は小さな方の石を、お互に重そうに抱えて、崖道を登りはじめた。軽く吹き始めた潮風が、私達の頬を快く撫で廻す。下男の早川は、ヨットの艫綱を岩の間の杭に縛りつけたり、船小屋からシートを取り出してヨットの船体へ打掛けたりしていたので、私達よりもずっと遅れてしまった。