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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
血の気の引いた真ッ蒼な顔には、もう軽いむくみが来ていたが、それが房枝である事は間違いなかった。娘の君子は、警官に抱き制められながらも、母親の変りはてた姿へおいおいと声をあげて泣きかけていた。
いままで警官の後ろからコッソリ死人を覗き込んでいた例の三人組の一人が、黄色い声でいった。
「ああ、この死人ですよ。あっちの、派手な着物を着た方の女を、剃刀で殺したのは、この女です」
すると上役らしい警官が乗り出して、大きく頷いていたが、やがていった。
「――つまり、なんだな、あの澄子という女を殺してから、この房枝は、暫く呆然として立竦んどったが、「青蘭」の窓から、君達に見られとったと知ると、急に正気に戻って……さりとて階下へおりるのは危険だから、ひとまずよろよろと押入の中へ隠れ込んだ……が、そうしているうちにも、いよいよ自責と危険に責められるにつれ、堪えられなくなってとうとう自殺した……ふむ、まずそんな事だな」
警官はそう云って、桃色の寝巻のままで泣きじゃくっている君子のほうへ、手帳を出しながら身を屈めた。
ところが、それから間もなく検判事と一緒に警察医が現場へ出張して来て、本格的な調べが始まり、やがて房枝の検屍にかかると、俄然、なんとも奇怪至極な、気味の悪い事実が立証されて来た。