Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
直ぐに警官の一人が「鮹八」へ急行した。が、やがて連行されて来た「鮹八」の主人は、達次郎を見ると、直ぐに云った。
「ハイ、確かにこちら様は、十時頃からつい先刻まで、手前共においでになりました。……それはもう、家内も、他のお客さんも、ご存知の筈でございます……」
係官は、ガッカリして、「鮹八」を顎で追いやった。
達次郎にはアリバイが出て来た。さあこうなると、捜査はそろそろ焦り気味になって来た。表には君子が番をしていたし、裏口には、出たところで焼鳥屋が、誰も通らなかったと頑張っている。表二階の窓は「青蘭」の二階から監視されていたし、裏二階の君子の部屋の窓には内側から錠が下ろしてあった。よしんば錠が下してなかったとしても、その窓の外には、台所の屋根の上に二坪ほどの物干場があり、その周りには厳重な針金の忍返がついている。尚又、裏口から焼鳥屋のいた横の通りへ通ずる露次に面した隣り三軒の家々も、念のため調べて見れば、どの家も露次に面した勝手口には宵から戸締りがしてあり、怪しいふしは見当らない。すると、房枝の殺された頃に、煙草屋のその密室も同様な家の中にいたのは、後から殺された澄子と、店番をしていた君子の二人だけになる。