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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
つまり岩倉の大将も、釧路丸は日本海にいるなんて云って、根室へこっそり帰って来たことは、出来るだけ隠したい気持なんだ。こいつが、警察の見込みを、すっかり悪くしてしまった」
「そりゃそうだろう」と亭主は身をそらして腕を組みながら、「そんな風じゃ、岩倉の見込みの悪くなるのも、ムリはないな……どうもこいつア、成る程大きな事件になりそうだな。なにかがあるぜ。そこんとこに……」
「うン大有りだ。確かになにかがある……どうも、俺の思うには、あの北海丸が沈んだ時に、生き残った砲手の安吉が、いったいどうして釧路丸なんかに乗り込んでたか、ってのがまず問題だと思うよ……むろん俺は安吉が、大ッぴらで釧路丸に乗ってたのなんか、見たことアないが、昨夜、安吉を殺した釧路丸の船長が、代りの砲手を雇って消えたってんだから、いままで安吉は、釧路丸に乗り込んでいたってことに、ま、理窟がそうなる」
「待ちなよ……」とこの時亭主は首を傾げながら、「あの北海丸が沈んだ時に、一番先に駈けつけたのが釧路丸だったんだから……そうだ。安吉は、運よく釧路丸に救い上げられたんじゃアないかな?」
すると今まで、気の抜けたようにボンヤリして、二人の話を聞いていた安吉の妻が、顔を上げて云った。