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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
するとこの時、前檣の見張台にいた男が、手を振ってなにやら喚き出した。近づく隼丸に気づいたのだ。と、早くも釧路丸は、ググッと急角度で左舷に迂廻しはじめた。
隼丸の前檣に「停船命令」の信号旗が、スルスルと上った。時速十六節の隼丸だ。――捕鯨船は、戦わずして敗れた。
近づいてみると、鯨群は思ったよりも大きかった。逃げもせずにうろうろしているその鯨達の中に、諦めて大人しく止ってしまった釧路丸へ、やがて隼丸が横づけになると、東屋氏、署長、丸辰を先頭にして、警官達が雪崩れ込んで行った。釧路丸の水夫達は、ただの違法摘発にしては少し大袈裟過ぎるその陣立てを見て、ひどくうろたえはじめた。が、直ぐに警官達に依って包まれてしまった。
東屋氏は、署長、丸辰を従えて、船橋へ馳け登って行った。そこには運転手らしい男が、逃げまどっていたが、東屋氏が、
「船長を出せ!」
と叫ぶと、
「知らん!」
と首を振って、そのまま甲板へ飛び降りた。が、そこで直ぐに警官達と格闘が始った。その様を見ながら、どうしたことかひどくボケンとしてしまった丸辰を、東屋氏はグイグイ引張りながら、船長の捜査を始めだした。