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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
そしてもう夜の明け切った構内を横切って、十方舎へ行くべく機関庫の方へ歩いて行ったんです。と、どうした事でしょう、「葬式機関車」の「オサ泉」と助手の杉本が、テクテクやって来るんです。見れば、杉本の例の鼻の下の煤が、いつの間にか綺麗に拭き取られているんじゃないですか!
杉本は、一行を認めると大袈裟な顔付で、
「とうとう又殺っちゃいましたよ」
「なに又殺った※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
と、助役が思わず叫びました。
すると杉本は、
「ええ、確かに手応がありましたよ。この駅のホンの一丁程向うの陸橋の下です。しかもねえ、機関車の車輪にゃあ、今度ア女の髪の毛が引ッ掛ってましたよ。豚じゃねえんです――」
で早速彼等は、十方舎の親爺の逮捕をとりあえず警官に任せて、大急ぎで逆戻りをしました。そして間もなく、H駅の西へ少し出外れた轢死の現場へやって来たんです。
恰度朝の事で、冷え冷えとした陸橋の上にも、露に濡れた線路の上にも、もう附近の弥次馬達が、夥しい黒山を作っていました。――その黒山を押崩す様にして分け入った一行の感覚へ、真ッ先にピンと来た奴は、ナマナマしい血肉の匂いです。