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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
左片盤の小頭が、アンペラを持って来て、係長の指図を受けながら、技師の屍体の上へかぶせて行った。工手は切取られた排気管の前に立って、殺された技師の残した仕事をあれこれと弄り廻していたが、急に身を起すと、
「係長。どうやら悪い瓦斯が出たようです」
「君に判るのか?」係長が微笑を見せた。
「六ヶ敷いことは判りませんが、出て来る匂いで判りますよ。もう火は殆んど消えたらしいですが、くすぶったお蔭で悪い瓦斯が出たらしいです」
係長は鉄管の側に寄ったが、直ぐに顔をしかめて、
「うむ、こりゃアもう、片盤鉄管へ連結して、この瓦斯をどしどし流してしまわねばいかん。そうだ。匂いで判るな。じゃア君は、時どき調べてみて、瓦斯の排出工合を見守ってくれ。わしはこれから坑夫を調べに行くが、その内には菊池技師も来てくれるだろう」
工手は鉄管の連結にとりかかった。係長は工手を残して歩き出した。
広場の事務所には、もう四人の嫌疑者達が、巡査と三人の小頭に見張られて坐り込んでいた。
お品はいつの間にか寝巻を着て、髪を乱し、顔を隠すようにして羽目板へ寄りかかりながら、ぜいぜい肩で息をしていた。兄の岩太郎は、顔や胸を泥に穢したまま鳩尾をフイゴのように脹らしたり凹めたりしながら、係長がはいって行くから睨みつづけていた。