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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
係長は巡査へは答えずに、岩太郎へ云った。
「わしの訊いとるのは、あれからお前が、真ッ直ぐに納屋へ行ったかどうか、と云うことなんだ」
すると岩太郎が、やっと顔をあげた。
「真ッ直ぐに行った」
ぶっきら棒な返事だった。
「間違いないな?」
係長の声が引締った。岩太郎は、黙ったまま小さく頷いた。
「よし」係長は傍らの小頭の方へ向直って云った。「ひとまずこの男は、そちらの部屋へ待たして置け、それから、お前は直ぐに竪坑の見張へ行って、この男が何時に女を抱えて出て行ったかシッカリ訊いて来るんだ」
小頭は、すぐに岩太郎を連れて出て行った。
続いて今度はお品が呼び出された。女が椅子につくと、巡査が係長へ云った。
「この女には、発火の原因に就いても調べるんでしたね」
係長は黙って頷くと、女へ向った。
「安全燈から発火したんだろうな?」
「……」
「火元は安全燈だろう?」
お品は力なく頷いた。
「お前の安全燈か、亭主の安全燈か、どちらだ?」
「わたくしのほうです」
「じゃアいったい、どうして発火したのか。その時の様子を詳しく云ってみろ」
お品はこの問にはなかなか答えなかった。が、やがてポロッと涙をこぼすと、小声でボソボソと俯向いたまま喋りだして行った。