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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
いくつかの片盤の小頭達へ、次々に、何かしきりと指図し終った係長は、技師を見ると馳け寄って云った。
「さア今度は、左片盤の番だよ。出掛けよう」
「待って下さい」技師が遮切った。「その前に、二、三調べたいことがあるんです」
「なんだって」
係長は吃驚して、苛立ちながら云った。
「この際になって、どうして又そんな呑気なことを云い出したんだ。もう犯人は、あの片盤の中に閉籠められているんじゃないか。そいつを叩き出して、少しも早くあの片盤を開放しなくちゃアならん」
しかし、菊池技師は動かなかった。
とうとう係長は、技師が来るまで坑夫を外に出さない条件で、一足先に捜査を申出た。
係長が水平坑の闇の中へ消えてしまうと、菊池技師は、別室であのまま足止めされていたお品を、すぐに事務所へ呼び込んだ。お品は、やがて問われるままに、大分落ついた調子で、もう一度発火当時の模様を、前に係長にしたと同じように繰返しはじめた。が、やがて、女の陳述が終ると、菊池技師は力を入れて訊き返した。
「では、もう一度大事なことを訊くが、お前が発火坑から逃げ出して、監督や技師や工手たちが駈けつけて防火扉を締め切ったその時には、確かにその場に峯吉は出ていなかったのだな?」