Japanese reading practice

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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens

Aozora Bunko

「はい、いつでもキャプテンのお召しがない限り、お供はしないことになっております」

この物堅いハッキリした下男の答は、ひどく私を喜ばした。東屋氏はなおも続ける。

「いったいキャプテンは、何にしに夜中になぞ、ヨットへ乗るんですか?」

「ただ帆走り廻られるだけです。あれが、キャプテンの御趣味なんです」

「結構な御趣味ですね」

東屋氏は皮肉に笑いながら、今度はヨットの中へ乗り込んだ。

「君、警察官が来るまでは、余り現場に触れないほうがいいんだよ」

けれども彼は私の忠告などには耳もかさず、大童になってあれこれと船中を物色していたが、やがて檣柱の側へ近附くと、大檣帆の裾の一部を指でこすりながら、

「血が着いているよ。やっぱり深谷氏は、このヨットの中で殺されたんだな」

私も東屋氏の言葉につい動かされて、近附いて見た。成る程紅白だんだら縞のところに血痕らしい飛沫の痕がある。東屋氏は一層乗気になってヨットの床を調べはじめたが、やがて今度は狭い棧の間から、硝子瓶の缺らしいものを拾い上げて私に見せた。で私は、

「やっぱり兇器は、ビール瓶だろう」

すると彼は私の肩を叩きながら、

「駄目だよ先生、これをビール瓶だなんて云っちゃあ。