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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
そして、その足跡の列の左側に、処々足跡をオーバーして、重い固体を引きずったような幅の広い線が、軽く着いているのに私達は始めて気附いた。
「なんだろう? 深谷氏の屍体を運んだ跡だろうか?」
私は東屋氏へ声を掛けた。
「うむ、だがしかし、そうとすると、深谷氏は船中で殺されそのまま船尾へロープで縛って海中へ投げ込まれたと云う僕の考えは、一応覆えされることになる……」
東屋氏は考え込みながら草地の処までやって来た。足跡の消された跡は、そこから見えなくなってしまった。昨晩踏みつけられ、又重い物を引きずられた時には、きっと草も敷き倒されたに違いない。が、時間を経ているためにもう、皆んな生々と伸びあがっている。
やがて処々に生い茂った灌木の間を縫うようにして、草地を歩き廻っていた私達は、ひときわ高く密生した木蔭の内側で、小さな池を発見した。そしてその細かい草の敷かれた岸辺には、大型のアセチリン・ランプが一つ転がっていた。そしてもっと私達の注意を惹いたことには、先程海岸の土の上で私達が見たと全く同じな重い物を引きずったような跡が、池の中から出たらしく岸の小石を濡して草地の中へ、しかもいま私達がやって来た海岸の方とは反対に、山の方へ向けて着いていた。