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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
だから一九〇・九二〇瓩と云う数字は、いや、深谷氏の数字もこの荷物の数字も、凡て犯人推定の引算のために、なくてはならぬ大事な数字には違いないが、それはあくまで大体の数字であって、その大体の数字に依る計算の現実の結果が、ピッタリ合う筈はない!……だから、いま、引算の結果が黒塚氏の体重にピッタリ合った時には、僕は全くびっくりした。実に見事な偶然だよ。余りに見事過ぎて、君は罠に引っ掛かったのだ」
「じゃあいったい、犯人は誰です」
司法主任が云った。
東屋氏は私の手からノートを取ると、
「六五・二〇〇瓩の下男の早川です」
すると司法主任は浮き腰になり、
「下男?――失敗った。そいつは私達の着く前に、町の郵便局まで出掛けたそうです」
「郵便局?」
今度は東屋氏が乗り出した。
「飛んでもない。――この岬から西南の海岸一帯に亙って、非常線を張って下さい。山も木立も、それから鳥喰崎も……あいつの『郵便局』はその辺にあるんです」
と私の方をチラッと見て、
「現に僕達は、先刻鳥喰崎の端っぽで早川氏の跫音を拝聴したんだ」
司法主任は直ぐに飛び出して行った。
東屋氏も立上った。
「さあ、忙しくなって来たぞ」