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うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Read 上杉謙信 (うえすぎけんしん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,102 characters · 256 screens

Aozora Bunko

二騎、三騎、また七、八騎。

辻を曲がり、また辻を曲がり、おそろしい勢いで、龍王道の木戸へ向って、疾走して行った士たちがある。

平常なら、何事かと、すぐ人々の注目をうけるところだが、この宵からの騒動中である。――あれも出陣の一組か。或いは、各地の味方へ、参陣の催促に行く早打ちかと、誰あって、怪しむものはなかった。いや、怪しんでいる遑もない空気だった。

「退け退けっ」

「木戸の扉を払え」

「木戸側を退いておれっ」

まるで、敵の中へ、斬りこんで行くような喚きだった。いわゆる武者声というものである。夜ながら、白い砂けむりを立てて約十騎、一団になって、街道口の木戸へ、ぶつかって来たのだった。

ここは、町の関門だ。滅多に通すべきではない。だが、真っ先の一騎が、

「火急の際、無断、まかり通る」

と、いきなり馬の背から降りて、そこの閂を勝手に外し、さっと押開いて、

「それ行け」

と、すぐまた鞍の上に跳びつくやいな、まるで弾丸のように駆け抜けて行った。

もちろん、番の将士は、

「待てっ」と、ささえ、

「何者だっ」

と、咎めることも怠りはしなかった。

しかし、次々と、関門を駆け抜けてゆく騎馬の士は、