Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Read 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) by 牧 逸馬 (まきいつま) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,305 characters · 498 screens
色いろ評判の高い家なので、お婆さんも好奇心に動かされてちょっと屋根裏の通風窓から覗いて見た。問題の部屋で、揮発油がはいっていると称する大きな錻力の桶が五つ、一列に並んでいる。それはいいが、その覗いている現場をキスに見つかって、洗濯婆さんは即座に叩き出された。この時も、何うも揮発油じゃなくて盗んだ酒でも這入っているのだろうと、また一しきり忘れていたゴシップが沸いたが、これが一九一四年五月のことで、八月には大戦勃発、いくら小さなツインコタの町でも、もうベラ・キスどころではない。そのうちに当のキスも、町民の歓呼の声に送られて出征してしまう。万事そのままになった。が、出掛ける前に、さきに言ったように窓には内側から鉄の棒を渡して裏表てのドアも、可笑しいほど厳重に釘づけにして行った。
翌々年、一九一六年の五月まで、二年間開かずの家である。
一週間に二回ほどブダペストへ出ると、いつも夜中の二時三時に帰って来る。ツインコタの町はぐっすり眠っている。自家用というとよく聞えるが、襤褸自動車である。猛烈な音を立てて大通りを疾駆して行くので、町の人はよく眼を覚まされた。