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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Read 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) by 牧 逸馬 (まきいつま) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,305 characters · 498 screens
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さて、文明の世にあり得べしとも思えない自殺室の探検を思い立った、リカルド・ガリバルジという、莫迦に豪そうな名前の、若くして勇敢なる医学生である。
貧しい青年で、広い巴里に、これという相識もない、田舎から出て来て、医者の免状を取ろうと、一生懸命、ソルボンヌで勉強している。
以前は丸ぽちゃで、顔の赤い、威勢の好かった女将セレスティンが、今は青く痩せて、焦いらして、怒りっぽく泣きっぽくなっているところへ、このリカルド・ガリバルジ君が飄然と現れた。もぞもぞした言葉つきで、自殺室の怪を調査したいから、許可して、便宜を計って呉れというのだ。英国の宝石商ブルウス・テイラアを第一に、お次ぎはカルヴァル、三番目は、木乃伊取りが木乃伊になった形のカミィル巡査と、こう鳥渡の間に三つの自殺が、しかも完全に同じ状況の下に続発して、もうすっかり「死の部屋」として余りにも有名になっている三階の十四号室である。
はじめマダムは、壮烈なガリバルジ君の申出にも首を振りつづけて、てんで聞こうともしなかった。
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が、あまり五月蝿く自信あり気に頼むし、それに、既に一つの理論と成算を胸に抱いているというので、微かな好奇心も動き、溺れる者は藁をも掴みたい気でいるマダム・セレスティンは、それならと言うのでその勇ましい名のガリバルジ青年をロウモン街分署