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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
Read 吉田松陰 (よしだしょういん) by 徳富 蘇峰 (とくとみそほう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 135,622 characters · 269 screens
毛利氏、松平定信と親姻たり。彼の江戸に祇役するや、松平定信に謁見し、その長門の内政を更革するや私淑する所ありしという。
当時毛利敬親は、長防二州の藩主として、毛利重就の宝暦、安永至治の余光を承け、府庫充実、士気漸く振うの時に会し、村田清風は、天保十四年の夏、藩主を勧めて羽賀台に大調練をなさしむ。衆およそ三万五千、馬匹千三百、旌旗天を蔽い、鼓声地に震う。一藩の政、その利害の及ぶ所小、故に較れば改革行われ易し。一天下の政、その利害の及ぶ所大、故に較れば行われ難し。水野が幕府に失敗したる所は、則ち村田が長州に成功したる所なり。
然りといえども彼が改革は、多少の怨敵を彼の身辺に湧かしめたり。彼の門楹は斫られたり、彼の石矼は毀たれたり、彼の前庭には、二人の刺客の足を印したり。彼自から歌うて曰く、
国歩艱難にして策未だ成らず、身を忘れ聊か野芹の誠を献ず。才疎く万事人望に違い、徳薄く多年世情に負く。皎月の門前に誰か石を折り、芳梅の籬外に渠ぞ楹を斬る。松を撫でてただ託す千秋の後、清風に問う有らば、我が名を答えん。
斯老襟懐想い見るべし。彼豈に粗胆笨腹の慷慨家ならんや。