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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
Read 吉田松陰 (よしだしょういん) by 徳富 蘇峰 (とくとみそほう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 135,622 characters · 269 screens
。ここにおいて「頭を挙げて宇宙を観れば、大道は到る処に随う」の句を高吟し、短褐孤剣、武総の野を経て、水戸に赴き、白川に出で、会津に入り、越後に往き、佐渡に航し、転じて羽州を貫き、さらに寒沢に抵り、遙かに函館海峡を隔てて松前を望み、転じて仙台より米沢に到り、再び会津を蹈み、日光を経て江戸に帰れり。蓋しこの亡邸の一挙たる、彼が身世齟齬の第一着にして、彼れ自らその猛気を用いたる劈頭に加えたり。彼れ何故にかくの如き事を為せしか。
彼が嘉永三年における鎮西の旅行は、彼が生涯において浅からぬ関渉を与えたりき。彼は平戸に如き、平戸藩の重臣葉山左内に介し、山鹿素水を見、肥後に入り宮部鼎蔵の家を主として、その徒及び横井小楠の社中と交れり。彼嘗て曰く、
僕嘗て平戸に遊ぶ、その士林を観るに、家ごとに必らず一小舸を置く。少しく余力あれば、洋に出でて魚を捕うるを以て楽と為す。僕知る所葉山左内なる者、食禄五百石、班中老に列す、その齢また已に六十余、官暇あれば出でて大洋に漁す、常に曰く、「海島の士かくの如くならずんば、事に臨んで用を済さず」と。西南諸国、古より最も水戦に長ずと称す。