Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Read 土曜夫人 (どようふじん) by 織田 作之助 (おださくのすけ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 106,903 characters · 213 screens

Aozora Bunko

だった。

今夜も茉莉が倒れたどさくさのあとへ来てみると、陽子の姿が見当らぬので、眼だけキョロキョロ動かせていたところだったらしい。

そして、やっと見つかって、いそいそと会釈したのだが、陽子が京吉と話をしているので、椅子を立つまでは、もう一本葉巻を吸わなくてはなるまい――という彼らしいエティケットで諦めた。

しかし、京吉にはそんなエティケットの持ち合わせは、耳かきですくう程もなかった。

「ねえ。泊めてくれよ」

「…………」

「今夜……。いけない……?」

「呆れたッ!」

と、言葉だけでなく、本当に陽子は呆れて、

「――どうしてあんたを泊めなくっちゃならないの……?」

「だって、土曜の晩という奴は、たいていの女は差し障りがあるんだよ。ママみたいに……。茉莉と陽子ぐらいだよ。土曜でも清潔なのは……」

「だって、あんた茉莉に借り切られてるんでしょう」

「だから、茉莉に万一のことがあった時の話さ。死んじゃったりしたら、おれ今夜泊る所が……。おれ、茉莉が死んじゃうような気が……」

「する……? あんたもそんな気がするの……?」

陽子は急に心配になって来て、

「――あ、そうだ。こんな話してないで、あんた事務所へ行って来てよ。