Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Read 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 349,705 characters · 678 screens

Aozora Bunko

哀れみもし、自らあきらめもしていたのが――時として、旅の半ばに、前後をのぞみ見て、然として流るる涙を払ったこともないではなかったのです。

子供の時分、名主様に舌を捲かせ、貴様は日吉丸になるか、石川五右衛門になるかと呆れさせたことのある自分も、よく通れば、日吉丸ほどでなくとも、五右衛門の出来そこないにはならなかったに相違ない……それがかくして今、こうして暗く歩んでいる。

それを考えて、七兵衛のいただく天地に、かつて明るいことがなかったのですが、今日は、全く別な世界を歩みはじめた気持です。

この世界には、この足を必要としないで歩み得る世界がある。それは海だ!

そこは、自分の特長は全く無用視されるが、自分の身に安心が予約されるではないか。

船というものは全く別の世界になり得る!

十二

田山白雲が勿来の関に着いたのは、黄昏時でありました。

勿来の関を見てから、小名浜で泊るつもりで、平潟の町を出て、九面から僅かの登りをのぼって、古関のあとへ立って見ると、白雲は旅情おさえがたきものがあります。

音に聞く、勿来の関の古関の址。

誰が書いて、いつ立てたか、「勿来古関之址」