Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Read 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 349,705 characters · 678 screens

Aozora Bunko

火は、いよいよ盛んになって、やがてパチパチと竹のハネル音まで聞え出した時、茂太郎の唇の色が変って、

「あ、そうだ、マドロス君が焼き殺されてるんだぜ、あの火は……」

四

そこで、茂太郎は、声も、身体も、震え上ってしまいました。

「マドロスが、焼かれているのかも知れない、たしかにそうだ、そんなような気がしてならない、そうだとすれば大変だ!」

ほとんど為さん術を知らないほどに動顛したらしい。

そこで、すっかり、空想も、幻想も、打ちこわされて、失神に近いほどの戦慄と、恐怖を、如何ともすることができないらしい。

というのは、今、あのマドロスが、村民の無頼漢の手に捕われている、そうして天神山へ連れて行かれて、今日明日のうちに焼き殺してしまうが、どうだいという、かけ合いがあったとか、なかったとか聞いていたが、それが本当であったか。

昨今、駒井の殿様を中心とする、この海辺の世界では、造船は着々と進行する、動力の研究までが目鼻がついてくる、働く人はみな殿様に心服している、やがて船が完成すれば、それに乗って行くべき人の人選も、ようやく定まりつつあるの時に、その周囲から、ようやく圧迫が出て来たことの形勢が、うすうすこの茂太郎にもわかっているのでした。