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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Read 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,487 characters · 19 screens
五
香を焚く人、鈴を鳴らす人、柏手を叩く人、勝手なまちまちの参詣の人が一段落になると、主人の佐久間勘解由は物蔭に玄沢坊を呼びました。
「ね、御坊、こんな事で大丈夫ですかえ」
「大丈夫?」
「賽銭の上りだけでも大したものだが、これがもし騙りとでも言われると――」
「とんでも無い、仏勅に騙りがあってたまりますかッ――賽銭の上りは心配することは無い、拙僧が貰って行く」
「驚いたなア、まア、それもよかろう。だが、これは本当に生身の大日如来かな、御坊。私には元のままのお竹としか見えないが」
勘解由にはまだ疑問があったのです。
「何を言う――御主人、内儀が出刃庖丁を持って石の蓋をした井戸の中で死んでいたのは何んのせいだと思う」
「――――」
「嫉妬に眼がくらんで、お竹殿――いや生身の大日如来を刺そうとした仏罰じゃ」
「金助が死んだのは?」
「お竹殿の閨を犯そうとした為じゃ、――仏罰の恐ろしさは、ひしと身にこたえたであろう。お解りか」
「だが、もう一つ――」
「何んじゃな」
勘解由はそれは言い兼ねた様子です。
五
お竹大日如来の人気は、寛永年間の江戸中を気違いにしました。やがてその奇蹟に磨きがかかると、お竹の身体から後光が射して、流し元に置いた水盥――その隅に網を張って残飯を洗い流して食べたという、塗物の粗末な水盥からは、異様な光明が輝き出たと