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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
Read 妾の半生涯 (わらわのはんせいがい) by 福田 英子 (ふくだひでこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 64,051 characters · 122 screens
二 自由民権
なりしなり。「マガイ」とは馬爪を鼈甲に似たらしめたるにて、現今の護謨を象牙に擬せると同じく似て非なるものなれば、これを以て妾を呼びしことの如何ばかり名言なりしかを知るべし。今更恥かしき事ながら妾はその頃、先生たちに活発の子といわれし如く、起居振舞のお転婆なりしは言うまでもなく、修業中は髪を結う暇だに惜しき心地せられて、一向に書を読む事を好みければ、十六歳までは髪を剪りて前部を左右に分け、衣服まで悉く男生の如くに装い、加も学校へは女生と伴うて通いにき。近所の小供らのこれを観て異様の感を抱き、さてこそ男子とも女子ともつかぬ、いわゆる「マガイ」が通るよとは罵りしなるべし。これを懐うごとに、今も背に汗のにじむ心地す。ようよう世心の付き初めて、男装せし事の恥かしく髪を延ばすに意を用いたるは翌年十七の春なりけり。この時よりぞ始めて束髪の仲間入りはしたりける。
二 自由民権
十七歳の時は妾に取りて一生忘れがたき年なり。わが郷里には自由民権の論客多く集まり来て、日頃兄弟の如く親しみ合える、葉石久米雄氏(変名)またその説の主張者なりき。氏は国民の団結を造りて、これが総代となり、時の政府に国会開設の請願をなし、諸県に先だちて民衆の迷夢を破らんとはなしぬ。