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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Read 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) by 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 284,014 characters · 565 screens
其処に上り着いたのは五時四十分であった。最高峰と三角点ある峰との間に在る西側の谷には、遥か下に池らしい窪があって雪に埋もれていた。
頂上は狭いが割合に植物が多い。長之助草や裏白金梅を初めて見た。南はざらざらの斜面で、少し掘るといくらでも水晶が出て来る。大きいものは長さ寸余、三分角位はある、が、大抵は小さいもの許りだ。無色透明で質はよいらしい。三角点ある峰で私は紫水晶を拾った。
泊り場所をきめなければならないので、四方に目を配りながら独り前進を続けていると、ふと岩の上に見慣れない一羽の鳥がいるのを発見した。羽毛は灰色を帯びた黒色で、アンダルシアンの色とよく似ている。頭にある赤い色が強く目に残っているが、それが鶏冠であったか単に目の上が赤いだけであったか、はっきりしない。又足に羽毛があったか否かも記憶していない。然し足は普通の雷鳥よりも長く、翼に少しも白い羽が無かったように思っている。何しろ捕えることにのみ気をとられて能く観察しなかったのは遺憾であった。私が四、五間の距離まで近寄ると、岩を下りて逃げ出した。いくら追い廻しても飛び立たない。手伝って貰う積りで「誰か来いよ」