Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Read 平の将門 (たいらのまさかど) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 232,193 characters · 463 screens

Aozora Bunko

――こうして、貞盛はその日、まもなく退出したが、殿上の反応にたいして、彼は、

「まずは、上首尾」

と、心のうちで、独り満足して帰った。

そしてまた、数日の後、彼は大納言実頼の私邸を訪ね、また九条の権中納言師輔の邸宅へも伺って、

「いまや私は、東国の郷里では、父祖以来の家園も将門に蹂躪され、まったく孤独無援の心細い立場になりました」

などと雑談にまぎらせて、若い師輔の同情をひくような事をいった。

若いといっても、九条師輔は三十二歳。長兄の実頼はもう四十歳である。

むかし、将門が仕えた藤原忠平は、すでに六十からの老齢であり、太政大臣の顕職にあるが、政治面からはもう実際的には身を退いていた。朝廷の政廟で、実権をもっているのは、子息の実頼と師輔なのである。

「いや、さは案ずるな、お汝の弟繁盛に、わしの内意は申してある。ただ、父の忠平公がどうも、将門にたいして、多少、お愍れみをかけておられる。……多分、むかしわが家に仕えていた小者という御憐愍からではあろうが……容易に、彼を朝廷の謀反人とする儀には、御同意をなされぬのだ。しかし、それも、お汝の訴文に偽りがなければ、時と事実が、証拠だてて来るにちがいない。